■ 法的根拠:「行旅病人及行旅死亡人取扱法」
明治35年(1902年)制定。現在も改正されつつ効力を保っています。
この法律の目的は、「住所不定で行き倒れとなった病人や死亡人を、社会の公的責任として保護・処理する」ことです。
これらを行っても特定できない場合、「行旅死亡人」として扱われます。
| 項目 | 内容 | 内容の解説 |
|---|---|---|
| 火葬 | 市町村の公費で火葬される | 遺族が不在または不明のため、税金によって火葬が行われる。「行旅死亡人火葬」として扱われる。 |
| 遺骨の扱い | 一時保管 → 合葬墓や無縁仏墓地に納骨 | 一定期間は保管され、引き取り手が現れない場合は無縁仏として共同墓地などに納骨される。 |
| 所持品 | 現金や身の回り品を台帳に記載し保管 | 財布や衣類、スマートフォンなどの所有物は記録を付けて保管され、後から遺族が確認可能。 |
| 費用の記録 | 火葬や搬送費用などを記録・一時負担 | 自治体が一時的に負担した費用は、遺族が判明した場合に請求されることがある。 |
| 官報公告 | 総務省官報に「死亡人公告」として掲載 | 身元不明者の情報を官報にて公告し、広く一般に知らせて遺族や関係者の名乗り出を促す。 |
【内容例】
令和○年○月○日午後○時頃、東京都渋谷区○○公園内において、年齢60歳位、身長165cm、中肉中背、白髪交じりの男性が死亡しているのを発見。
氏名不詳。所持品:財布(現金3,200円)、黒いバックパック、スマートフォン等。
上記の死亡人について、心当たりのある方は○○市福祉課まで申し出てください。○○市長
【公告の意味】
| 課題 | 詳細 |
|---|---|
| 孤独死の増加 | 高齢化・経済困窮・社会的孤立により、無縁の死が増えている |
| 自治体の財政負担 | 火葬・遺骨保管・公告などの費用が自治体の負担となる |
| 身元確認の限界 | 顔写真の公開不可、外国籍者の特定も難航 |
| 情報公開の難しさ | プライバシー・人権保護の観点から情報公開が制限されている |
| 行政間の連携不足 | 都道府県・市町村・警察のデータ連携が不十分 |
| 名称 | 内容 |
|---|---|
| 無縁仏 | 親族が引き取りに来ない故人。寺院などが供養し合同墓に納骨される |
| 孤独死 | ひとり暮らしで亡くなり、発見が遅れるケース(身元は判明している) |
| 無戸籍者 | 戸籍が存在せず、身元確認に困難が伴う |
明治時代の日本では、旅の途中で倒れた人や、行き場のない病人が各地に多く存在しました。
当時は「行き倒れ」として放置されることが多かったため、国が社会的保護責任を明文化したのが「行旅病人及行旅死亡人取扱法」です。
これは「社会が最も弱い立場の者を見捨てない」という理念に基づいた法律です。
| 観点 | 内容の要約 |
|---|---|
| 定義 | 身元不明・身寄りなしで死亡した人(自治体が処理を担当) |
| 対応フロー | 警察の検視 → 自治体の火葬・公告・遺骨保管 |
| 公告の目的 | 遺族や知人に名乗り出を促す |
| 社会的課題 | 孤独死・情報不足・財政負担など深刻な現代的問題 |
| 関係者対応 | 所定の手続きで遺骨や所持品の引き取りが可能 |
| 歴史的意義 | 「公的セーフティネット」の原点ともいえる制度 |